どうも、ミズキです。

今回は「あの名作と偉人から紐解く次世代の生き方論」についてお話していきます。

 

最近「ファイトクラブ」っていう映画をアマプラでみたんですけど、コレめちゃくちゃ面白かったです。

まぁ上映されたのが今から20年ほど前の1999年なので、もしかしたらもう既に観たかもしれませんが、
それでも全然古臭くないというか、むしろ現代社会にもそのまま通ずる内容になっていたし、

 

それこそ私の提唱する「物心光一」というコンセプトに近い内容になっていて非常に良い刺激になりましたね。

ファイト・クラブの簡易あらすじ(ネタバレ有り)

一応、簡単にあらすじ(ネタバレ有り)を説明しとくと・・・

 

エドワード・ノートン演じる主人公『僕』は、一流インテリアに囲まれ物質的には何不自由ない生活を送っていたものの、

なぜか精神的には全く満たされず、不眠症で眠れない日々(眠れたとしても起きたら別の場所にいる日々)を送っていました。

 

そのため『僕』は精神科医に「もっと強力な睡眠薬を処方して欲しい」と懇願しますが、

「世の中にはもっと大きな苦しみを持ったものがいる」と一蹴され、なぜか睾丸ガン患者の集いを紹介されます。

 

 

その集会では、睾丸が無くなった影響でおっ○いが大きくなった大男(ボブ)とハグしたり泣き合ったりして、結果的にはぐっすり眠れるようになりました。

 

そうしてそれに味をしめた『僕』は、末期ガン患者や結核患者など様々な集いに参加して、他人の不幸の蜜の味をすする事で安眠の日々を送っていましたが、

ある日、自分と同じようになりすまし患者をしていた「マーラ・シンガー」と出会ってしまいます。

 


出典:https://www.kinemanoyakata.com/entry/20170513/FightClub

 

罪悪感のせいなのか、自分と同じように偽物の患者を演じていた彼女を見ると『僕』は再び眠れなくなってしまったため、
二度と彼女と顔を合わせないよう曜日別で訪問する集いをズラす事を提案し、何とか了承を得ます。

 

その後、仕事で出張ばかりの『僕』は、ある飛行機の中で「タイラー・ダーデン」という男と出会い、
なんやかんや色々あって(自宅が爆発で無くなったりして)彼と共同生活の日々を送ることに・・・

 

それからというものの『僕』とタイラーはお互い殴り合いの日々を送る事で物質社会に奪われていた生の実感を獲得し、
やがて「ファイト・クラブ」という見ず知らずの男同士で殴り合う地下集会を作ります。

 

ドンスコ殴り合う男達。

 

タイラーは言います。

 

「戦いを始めろ。生きていることを証明しろ」

 

その言葉に感化された『僕』は日々ファイトに明け暮れ、だんだん不眠症も克服しつつあったのですが、
そんなある日、何の偶然かタイラーとマーラが肉体関係を持ってしまうのです。

 

「別にあんな女どうでも良い」と思いつつも、どこかタイラーに嫉妬心を感じてしまう『僕』。

 

そして、それに呼応してかタイラーの行動は日に日に過激化していき、

 

「苦痛も犠牲もなしには何も得られない。今は人生最高の時間だ」

 

という言葉と共に「僕」の手の甲に水酸化ナトリウムをぶっかけられて皮膚を溶かされたり、
見ず知らずの赤の他人にケンカを吹っかけるよう命じられたり、
挙げ句の果てには「騒乱計画(プロジェクト・メイヘム)」という名のテロリスト集団を立ち上げるまでに・・・

 

しかしなぜか突然、タイラーは行方をくらましてしまいます。

 

彼の足取りを掴もうと、飛行機の半券チケットを頼りに捜索する『僕』でしたが、
全米中を捜索するうち『僕』は驚愕の事実に直面します。

 

なんと、タイラーは『僕』の別人格だったのです。

 

そして、突如目の前に現れた坊主頭のタイラーは言います。

 

「俺は世界を変えたいと願っていたお前の理想像だ」

 

つまり、不眠症で眠れない時は『僕』が活動し、
寝ている時はタイラーが活動していたという事。

 

『僕』=「タイラー」


出典:https://ameblo.jp/rsn48/entry-12237548994.html

 

ようやくその事実に気付いた『僕』は、金融社会を爆弾で崩壊させるというタイラーのメンヘム計画を阻止しようと何とか奮闘しますが、

カリスマ性溢れるタイラーの元で組織されたテロリスト集団達は、リーダーの『僕』ですらも制御できないほどに大きくなっていました。

 

(こうなったら自分自身の手で爆弾を解除するしかない)

 

そう思い立った『僕』でしたが、度々現れるタイラーの幻覚に邪魔されたため、残念ながら全ての爆弾を解除する事はできませんでした。

 

「もうすぐ金融社会は崩壊し、社会に平等が訪れる」

 

そう告げるタイラーに一矢報いようと『僕』は最後の力を振り絞り、自分自身の頰に銃弾をお見舞いする事で半ば強制的にタイラーの呪縛から解放されます。

 

そして崩壊するビル群をマーラと共に見つめながら『僕』は言うのです。

 

「心配するな。これからは全て良くなる」

(世界一とも名高い映画EDと共にもう一度振り返ってみましょう。)

『僕』は誰?

以上、これがファイトクラブのあらすじなんですけど、
第一にこの映画の興味深い点って、主人公が『僕』として固定されていない所にあるんです。

 

常にモノやスマホでがんじがらめにされている現代人

常に誰かに嫉妬し、精神的には全く豊かでない日本人

常に理想の人間を内に秘め、それに憧れ続ける地球人

 

そんな彼らを『僕』として追体験する事で、このファイトクラブはある種の普遍性を保っているんですね。

 

言ってしまえば、誰もが『僕』であり「タイラー」でもあると解釈できるわけですが、
残念ながら映画の結末からも分かる通り、自己への攻撃性を他者に向けた瞬間、それはただの暴力と化します。

 

ファイトクラブでは暴力的な表現が目立ちますが、それでもタイラーが望んでいたのは「自己破壊」でした。

(現に殴り合いは推奨しても、殺し合いは推奨していない。)

 

今まで物質偏重に腐っていた自分自身を殴り尽くす事で、真に生きている実感を得る。

 

元来これこそが『僕』の、そして「タイラー」の望んでいた事だったのですが、
映画の後半では、その矛先を金融社会の破壊(一種の共産主義)に向けてしまったため、
最終的に『僕』の理想でもあり幻想である「タイラー」は消えてしまいました。

(小説版では、ビルの崩壊後『僕』と「マーラ」の死も示唆されています。)

 

つまり他者や外部への嫉妬は、じきに自分自身の破滅を招くという事ですね。

ニーチェの「ツァラトゥストラはこう言った」からも紐解いてみる

ちなみに、これはニーチェの言う「ルサンチマン」という言葉にも表れているのですが、
ニーチェは、この嫉妬心を持つ人間を心の底から忌み嫌っていました。

 

「神は死んだ」

 

そう断言した事で有名なニーチェですが、
彼も物質主義を否定したタイラーと同じように「キリスト教」に支配されていた世界を強く非難していました。

 

キリスト教では「隣人愛」という言葉にも表れているように、自分よりも他人を愛すべきといった考え方を推奨していますが、
ニーチェは「それよりもまずは自分自身が幸せじゃないとダメっしょ(運命愛)」という考えを持っていましたし、

 

あらかじめキリスト教で定められていた「あれはダメ、コレは良い」といった神(笑)による善悪の規律の背後には、
「お金持ちや権力者はダメなやつ、俺たち貧民は良いやつ」といった強者に対する弱者の嫉妬、
すなわちルサンチマン的なダサい思想が隠れている事を見抜いていました。

 


出典:http://www.upgrowth.org/nietzsche/godisdead/

(神基準から自分自身の価値観を重視する方向へ。)

 

あとこれは少し余談になるのですが、

ニーチェが39歳の時、ルー・ザロメという超絶美女に告白するも、
結局その恋は実らなかったばかりか、実の親友に寝取られてしまうという悲劇の体験をしていました。

(ファイトクラブで言う、マーラとタイラーの関係に嫉妬する『僕』かな?)

 

そういった背景もあってニーチェは「ツァラトゥストラはこう言った」という本を書くに至るのです。

 

その本ではツァラトゥストラという男が主人公となって様々な教えを説くのですが、

 

  • 全てのものは無価値である(ニヒリズム)という考えを持ち、憧れも冒険もしない「末人」
  • 己の孤独を少しも持つ事もなく、一時的な平安や物質的な幸福に安住する「畜群」

 

こういった人種を徹底的に批判し、
常にクリエイティブでパワフルに生きている「超人」を目指すべきだと謳っています。

ファイトクラブで言えば、ちょうど前半のタイラーのような存在で、
現に「ツァラトゥストラはこう言った」の中でも、

 

「汝らに私が勧めるのは、仕事ではなく、闘争である。」

「汝らに私が勧めるのは、平和ではなく、勝利である。」

「汝らの仕事が闘争であれ、汝らの平和が勝利であれ!」

 

このように言っている事から、
まさに殴り合いの中で生の実感を得ようとしたタイラーと重なりますね。

(その矛先が社会に向かわなければ良かったのですが・・・)

 

またこの「超人」は、私の提唱する「物心光一」をクリアした人間だとも言えます。

 

というのもツァラトゥストラ(ニーチェ)は、「超人」になるための具体的な段階として、

 

駱駝(守)→服従と勤勉の精神で、様々な義務を一気に引き受けるラクダ的存在

獅子(破)→否定と破壊の精神で、自由意志をフルに発揮していくライオン的存在

幼子(離)→自由と無垢の精神で、新たな価値を次々と生み出していく赤ちゃん的存在

 

言い換えれば、物質面精神面を一つに止揚した状態が「超人」であり、
これは以下の図のように、IQEQをアウフヘーベンさせたSQに相当します。

 

 

IQ(Inteliigence Quptient)→脳の知能指数

EQ(Emotional Quotient)→心の知能指数

SQ(Spiritual Quotient)→魂の知能指数

 

こんな感じで3つを表現できますが、
今私が注力している無料コミュニティでは少し抽象度を落として、

 

ビジネスIQ→マーケティングやコピーライティングといった専門テクニック

ビジネスEQ→エネルギーマネジメントやマインドセットなどの内面スキル

ビジネスSQ→経済的成功と精神的幸福の物心両面に成幸しているレベル

 

上記のように「ビジネス」を軸とした定義で捉える事も可能です。

 

いずれにしろ、そういった最終次元に到達してこそ、私達は真の意味での生を全う出来るのです。

超人感覚

そして、ニーチェは「超人」という概念の他に『永劫回帰』という思想も提唱しています。

 

永劫回帰とは、自分の人生が何度も何度も同じように繰り返されるという意味ですが、
おそらく生から死への一直線的な時間感覚を持っている人からすれば違和感しかないかもしれません。

 

ただ、これは以前ご紹介した「宇宙カレンダー」が再び一巡していくようなイメージを持つと分かり易いんじゃないでしょうか。

>このクソみたいな人生を少しでも楽に生きられる3つの考え方

 

とはいえ、この永劫回帰という思想はかなり賛否が別れるというか、
「宇宙ってのは弁証的に進化発展していくもんなんだから同じ状態にはならない」という否定意見もあります。

 

ですが、本当の意味でニーチェが言いたかったのは

 

「100万回、同じ人生を生きてもコレで良かったと思えるような生き方をしろ」

 

って事を訴えたかったんだと思います。

 

これは隣人愛に変わる「運命愛」という考えにも由来するんですが、
ニーチェは人生に訪れるポジティブもネガティブもそのまま全部そっくり受け入れよと言っており、

むしろ「喜びは勿論、苦しみを受け入れるだけでは甘い。己から苦しみを欲せよ」とドM的な発言もしています 笑

 

それこそが超人の在るべき姿なんだと。

 


出典:http://nounai-backpacker.hatenablog.jp/entry/2016/04/30/022056

 

ちなみにコレは、ファイトクラブの最後で『僕』が発した、

 

「心配するな。これからは全て良くなる」

 

という言葉にも表れていますね。

 

このシーンでは、理想幻想だったタイラーという獅子を克服し、
一種の超人(幼子)となった『僕』がマーラに向けて発する言葉なのですが、
小説版でも示唆されているように、この数秒後に二人は崩壊するビルに巻き込まれて死んでしまいます。

 

なので表面的に見れば

「これから全てが終わるはずなのに、どうして上手くいくんだろう・・・」

と疑問に思ってしまうかもしれません。

 

ですが、超人となった『僕』にとって死なんかどうでも良かったのです。

 

既に彼は「永劫回帰」という思想を体の芯で理解していたから。

 

だからこそ今までの過去も、これからの未来も全て受け入れ、死の直前ですら希望を持つ事ができたのです。

 

勿論、死ねば全て無になるという考えを持っていれば、所詮こんなのは赤子の戯言に過ぎないのかもしれません。

 

でも、たとえ自分が死んだとしても、その志を後世に受け継がせてくれる人はいるはずですし、
何よりそんな後継者(超人)を産み出せるよう強く意識しながら生きていくべきです。

 

ファイトクラブの『僕』やニーチェの存在が、この文章を書く「きっかけ」になってくれたように・・・。

たとえ己が倒れようと志だけは繋いでゆく

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